FS基礎工法とは― 一発打設が変える基礎工事の常識#FS基礎工法#基礎#工法
FS基礎工法は、コンクリートの底盤と立ち上がりを一度に打設することで、従来の基礎工事が抱えていた「打ち継ぎ」の課題を解消する新しい基礎工法です。
布基礎でありながらベタ基礎と同等以上の強度を確保し、コストと環境負荷を抑えながら、無料のシロアリ保証と、20年から最大30年の有料免震保証も備えています。
本コラムでは、開発の背景から技術の仕組み、スーパージオ工法との関係まで、FS基礎工法の全体像を解説します。
開発の背景―基礎工事が抱えていた課題
住宅の基礎には、地盤に接する底盤部分と、そこから立ち上がる立ち上がり部分があります。
本来、この二つは一度のコンクリート打設で仕上げるのが理想とされていますが、実際の現場では手間や工程の都合から、底盤と立ち上がりを二回に分けて打設する「打ち継ぎ」が一般的になっています。
この打ち継ぎ部分は、コンクリートの継ぎ目であるがゆえに、レイタンス(コンクリート表面に浮き出る脆弱な層)の除去や養生が不十分なまま次の打設に進んでしまうケースが少なくありません。
その結果、継ぎ目にわずかな隙間やひび割れが生じやすくなり、そこがシロアリの侵入経路になったり、基礎の耐久性を損なう要因になったりすることが、長年の課題として指摘されてきました。
FS基礎工法は、こうした従来の基礎工事が抱える構造的な課題を解決するために開発されました。
加えて近年は、建築業界における人手不足や資材価格の高騰により、施主の負担が増している現実もあります。
地盤改良の実績を持つ株式会社地耐協は、そうした状況を踏まえて基礎構造そのものを見直し、より安全で経済的な基礎のあり方としてFS基礎工法を生み出しました。
核心技術― 生コンクリートの一発打設
FS基礎工法の最大の特徴は、専用の型枠を用いて底盤部分と立ち上がり部分を一度のコンクリート打設で仕上げる点にあります。
継ぎ目そのものをなくすことで、打ち継ぎに起因していた隙間やひび割れの発生を大幅に抑えることができます。
この構造上のメリットは複数の側面に及びます。
- シロアリ対策:継ぎ目がなくなることで、シロアリが侵入しやすい経路そのものが減少します。
- 省人化・工期短縮:鉄筋組立やコンクリート打設にかかる人工を削減でき、外部の基礎工事業者に頼らず自社施工でスムーズに進めることも可能です。
- 液状化対策:地盤改良に用いるスーパージオ材が水の浸入を受け止める仕組みを持ち、液状化時の沈下抑制にも効果を発揮します。
布基礎でベタ基礎相当の性能とコスト効率を実現
これまで「基礎はベタ基礎が最も安心」という考え方が一般的でしたが、資材高騰による施主の負担増を受け、地耐協は基礎構造の見直しを行いました。
その結果生まれたのが、構造計算とコンクリート一発打設によって、布基礎仕様でありながらベタ基礎と同等以上の強度を確保するというFS基礎工法の考え方です。
布基礎化による使用コンクリート量の削減は、コストメリットだけでなく環境面の効果ももたらします。
地耐協の発表によれば、この見直しにより一棟あたり約7,692kgのCO₂排出削減につながるとされており、脱炭素の観点からも注目される取り組みです。
手厚い保証制度―無料のシロアリ保証と有料の免震保証
FS基礎工法のもう一つの特徴が、保証制度の充実です。
一発打設によって継ぎ目のない構造を実現していることを背景に、標準で無料のシロアリ保証が付帯します。
これに加えて、希望に応じて有料で免震保証にも加入できる仕組みが用意されています。
この免震保証は、業界初となる20年から最大30年という長期の保証期間が特徴です。
免責0円・損害額100%保証のため、万が一地震による被害が発生した場合も、復興に向けた手持ち資金を心配する必要がありません。
無料のシロアリ保証と、長期にわたる有料の免震保証を組み合わせることで、施主は基礎の性能そのものだけでなく、その後の暮らしの安心まで含めてFS基礎工法を選ぶことができます。
スーパージオ工法との関係― 対立ではなく補完
FS基礎工法とスーパージオ工法は、どちらを選ぶかという二者択一の関係にあるわけではありません。
スーパージオ工法は、建物の重量に相当する土を取り除き、代わりにスーパージオ材を敷き詰めることで地盤を軽量化し、支持力を確保しながら地震の揺れや液状化などの二次災害を抑える地盤改良工法です。
地耐協は、このスーパージオ工法で培った地盤改良の知見を活かしてFS基礎工法を開発した経緯があります。
実際の運用でも、地盤の耐力が不足する土地では、スーパージオ工法をはじめとする地盤補強を行い地盤保証を付保したうえで、FS基礎工法を組み合わせるという形が想定されています。
両者は、基礎の性能を高めるための異なる役割を担う、補完関係にある工法と捉えるのが実態に即しています。
今後の展開
地耐協は、FS基礎工法とスーパージオ工法を通じて、戸建て住宅をはじめとする様々な建築物に安全な基礎を提供することを目指すとしています。
今後は住宅メーカーや工務店との連携を強化しながら、FS基礎工法の普及とさらなる技術開発を進めていく方針が示されています。
打ち継ぎという長年の課題に正面から向き合い、コスト・環境・保証のバランスを取ったFS基礎工法は、これからの住宅づくりにおける基礎選びの新しい選択肢として、今後も動向が注目されます。